周回遅れの感想文

とっくに終わった話題について、感想を述べるブログです。あと酒日記。

『名探偵コナン』第857-858話感想

『米花町二転三転ミステリー(前編)(後編)』

17/4/29・5/6放送。ネタばれ含みます。

 

 

録画消化物です。

TV番組を見る時はリアタイ視聴より録画を選ぶ事の方が多いのですが、録画した後しばらく放置して二、三週間後に見るのが常です。今のところ私が録画しているアニメはコナンとポケモンのみで、そのどちらも録画を溜め込んでいます。アニメを見るのにも気力と決断が必要なのです。しかも見たのは一週間ほど前なので、話を思い出しながら今更な感想を綴る有様です。
しかし、この話は被疑者が二転三転する流れがスムーズに描かれていて、結構はっきりと粗筋を思い出せます。描写に無駄がないということかな。それでいて演出は凝っていて、特に後編の犯人バレシーンは派手でした。
推理しながらコナンを見る層にとっては犯人も動機も推理しやすい内容だったようなので、飽きさせないよう配慮した演出だったのかもしれません。私は流し見層だったこともあって、だいぶ珍しく感じました。ちょっとびっくりしたくらいです。
 
犯人は喫茶店の店長でした。コナンではよくあることとはいえ、犯行を(見た目)小学生に暴かれても落ち着いた様子で、動機も相まって、この方なかなかのサイコさんなのではという印象です。
・自作の推理小説を応募したら審査員に人間性込みでボロクソ貶された事に恨みを持つ
 ※審査員は作者の素性は知らず、作者本人の目の前で貶したとは気付いていない
・生き地獄を味合わせてやろうと決意、計画
・手始めに、迷惑行為で近隣住民に嫌われていた男性を殺害
・男性をどうにかしろとせっつかれていた(が、頼りないと思われている)町内会長も自殺に見せかけて殺害、町内会長が男性を殺害し苦悩の末に自殺という筋書を作り出す
・その上で二人を殺害した罪を本命に被せる、審査員こそが上記の筋書を作り上げたのだという形で
・町内会長と審査員は自分の喫茶店の常連らしく、店長も会話に混ざれる程度の親しみを持つ関係
・しかし無慈悲、計画が上手くいくように警察の捜査を軽く誘導もする
・でもバレたらおとなしく捕まる
・推理を展開しているのが小学生男児であっても
・供述からはミステリーにこだわりを持つ姿勢も伺える
・口調や態度に常人と変わったところはない、普通のマダム
 
こわいです。「コナンでは無茶苦茶な動機で人が死ぬ」とは聞き及んでおりますが、冷静に考えると怖い。
殺害対象のチョイスは「別にこいつは死んでもいいだろ」という、よくあるけれど表出しがたい感情を自然に利用して計画に組み込んでいるようでもあります。殺人に抵抗感のない方なんだな、と思ってもそこまで違和感がありません。もっとも、自分のやりたいことにどうしても殺人が必要だという時に、死んでもいい奴を殺そうという選択は、非人道的な行為でありつつも実行する者は人道を強く意識しているのかもしれません。
そしてコナンは彼女の前で、人気のない公園で二人きりで推理を展開します。小五郎のおっちゃんというクッション抜きです。彼女の人格の如何によっては四人目の犠牲者になりうる状況です。しかしそうはならず、コナンが核心を告げる前から彼女は何が語られるのかを察し、静かに耳を傾けます。余談ですが、このシーンは結構好きです。行儀悪くもスマホ片手に、ながら見でほんほーんと受け流していたらコナン君が語り出し「あっ、犯人この人なんだ…」と察せざるを得ず、思わず画面に向き直りました。
この犯人は、計画を立てて実行までしたものの、それが成功しきるかどうかまでは重要ではなかったのでしょうか。自分が捕まったら、罪を被せようとした人は無実だと分かってしまい、人の同情や慰めの対象にもなりかねません。本気で目的を達成させようと思うなら、それは何よりも避けたい事態のはずです。ところが、彼女は言い逃れせず、物証も見つかっていないのに白旗を上げてしまうのでした。
己の財産や社会的地位等、失い難いものを確実に失うと分かっている行動をとる時、人は2パターンに分かれると思います。その行動をとっていないかのように偽装するか、失ってもかまわないと確信しているかです。彼女はそのどちらとしても中途半端で、偽装しながらも失うことを受け入れ、かつ失ってもかまわないという程の勢いも感じさせませんでした。ただ一つ一貫して見せたのは、ミステリーへのこだわりだけです。自作品への批評、「犯人像がリアリティゼロ」を覆すべく、彼女は自ら行動したのでしょうか?
この話はアニオリですし、誰も彼も(コナン君すら)エピソードのための人物なのだから、内心の整合性や妥当性まで考えるべきではないのでしょう。それでもこういう点を考えるのは楽しいです。キャラクターの内心など行動にしか存在しないからです。
 
モチーフとなった『ABC殺人事件』は、寡聞にして読んだことがありませんでした。これを機に読んでみようかなと思っています。忘れていなければ読みます。ただミステリー小説といえば、子どもの頃に読んだはやみねかおるの『名探偵夢水清志郎事件ノートシリーズ』か松原秀行のパソコン通信探偵団事件ノート』ぐらいしかまともに触れたことがないので、ちょっと敷居が高く感じます。読み切れるかな。というか書いててその二つを改めて読みたくなってきました。